取っ手が破損したオーブンレンジ(相談解決のためのテストからNo.196)
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
依頼内容
「オーブンレンジの扉を開けようとしたところ、取っ手が破損した。破損した原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
調査
当該品は、電子レンジ機能とオーブン機能を有するオーブンレンジで、扉を開閉するための取っ手と扉との間にある樹脂製の取付部が破損していました。
破損していた取付部を外したところ、左右ともに扉との接触面及び破断面周辺には液体が付着していました。取付部の材質及び付着していた液体を調査すると、取付部はポリカーボネート、付着していた液体は植物由来の油分であると考えられました。
破断面を観察したところ、破断の起点は複数あり、それらはすべて内側に見られました。起点周辺、特に破断面の下側においては、広い範囲で凹凸のない平滑な状態であり、ソルベントクラック(注)による破断である可能性が考えられました。また、各起点から外側に向かって疲労破壊の特徴であるビーチマーク(貝殻状の模様)が広がっており、その外側では最終的な急速破壊の痕跡が見られました。
- (注)成形品中に溶剤などが浸透拡散されることによって、分子間の剥離が生じクラック(亀裂)に至るもの。その破断面はナイフでスパッと切ったようなきれいな鏡面を示すことが特徴。(大武義人著「ゴム・プラスチック材料のトラブルと対策」より)
以上のことから、当該品は取っ手の内部に付着した植物由来の油分等によってソルベントクラックが生じ、その状態で扉の開閉を繰り返したことによって最終的に破断したものと考えられました。取っ手内部に付着していた油分は、植物由来であることから調理等で使用したものであった可能性が考えられました。
消費者へのアドバイス
樹脂の種類によっては、油分等が付着することによってソルベントクラックが生じ、破損に至る可能性があります。汚れが付着した場合にはその都度ふき取る等、日頃からこまめに手入れをするように心がけましょう。
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
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